1 はじめに: ホームページを 作った理由
私(廣畑)は、長年大学で予防医学、疾病を予防する研究や教育をしてきました。海外の大学(ハーバード大学)で勉強した事もあります。後に客員教授で招聘された事もあります。 大学外では、国際連合で、放射線による発がんについて、あるいはハワイがんセンターで、日系移民の方を対象に、がん予防につながる研究もしました。いずれにせよ、予防医学の研究の成果は、一般の人たちに還元され、一般の方のお役にたつことが大切です。
その観点から、ホームページを作ろうと思っておりました。今回、素人でもなんとかホームページが作れるようになり、ここに開設できたことを喜んでいます。このホームページをご覧になった方は、もし良いと思われれば、ご家族、お友達などにも、ぜひ勧めて下さい。 正しい情報を伝えることはとても大切なことです。世の中に、情報は氾濫しています。しかし正しい情報は、案外伝わっていないのです。どうかご協力下さい。
このホームページに 「正しい健康法と長寿へ: 世界のデータからの提言」 というタイトルをつけています。世界各国からの編纂委員が中心となり、世界中のデータを検討し、がん予防への道を探り, その結果を膨大な報告書にまとめて、世界に向けて発表しました。 世界の多くの科学者、大学、研究所の協力を得ました。2007年の発表では、私は日本からの、ただ一人の編纂委員でした。上の写真は、会議の時の一こまです。がん予防につながる食習慣や運動などのライフスタイルは、他の 心臓病、脳卒中、糖尿病などへの予防にもつながります。
多くの方がこのホームページを読み、さらに実生活に応用して頂きたい, と思っています。
和食が 最近世界文化遺産に登録(ユネスコ)されました。大変結構な、うれしいニュースです。これに関連し、二つ書いてみます。
1)白米主体の食事、おかずが少なく、白米主体の食事は、例えば日清、日露の戦争では、従軍した兵士に、膨大な数の脚気患者と、死亡者を出しました。ビタミンB1の不足による発病です。当時は、一般の人でも毎日三合のお米を食べる、労働量の多い人は、五ー六合のお米を食べる、そういう時代でした。ご飯を何杯かお代わりするが、後の方は漬物で食べる。おかずが少ないのです。ご飯を食べる際、栄養成分をそぎ落とした精白米を炊いて食べるのは、望ましくありません。せめて胚芽米を食べる、麦を混ぜて食べるなど、工夫がいると思っています。
このブログの12番目に、「日本食と脚気、高木兼寛と森鴎外」について述べているのを、参照して下さい。なお江戸時代の人々は、また明治になってもお年寄りは、四つ足の動物の肉、牛肉や豚肉を食べませんでした。それもビタミンB1の不足に関係しています。
2)西欧の人たち、とくにアングロ・サクソン系の人たちは、かって狩猟主体の生活をしていました。ローマ時代のシーザーの「ガリア戦記」などを読むと、それが良く分かります。狩猟系の人たちは、肉食主体の食事になる。何時でしたか、英国の栄養研究所の所長と、朝食を共にした事があります。彼が、英国人の食事は、世界で最もひどい食事の一つだ、と言ったのが、妙に記憶に残っています。肉食が主体で、カロリーも高すぎる、デザートもひどい(エンプティカロリーの代表、栄養がなくカロリーが高い)、そういう事でしょう。和食はそこらが基本的に違う、それが文化遺産登録の大きな理由では、と思っています。
世界で、食事と健康で、現在一番大きな問題は、世界的に肥満者が、年々急増してきたことでしよう。これを何とかしなければならない(肥満者のおなかの写真をご覧下さい)。過度の肥満は、健康の大敵です。喫煙の害はよく知られているが、肥満も大敵であり、世界的な問題です。世界の人々が、和食に(良い和食に)注目するのが良く理解できます。
教室の先輩に、原 志免太郎 という先生がおられました。学位論文(医学博士)は、 ウサギにお灸をする、ウサギの血液を調べると、ウサギの免疫能が高まっている、簡単に言えば、そういう内容でした。血液の性状がどう変わっていたか、その説明は省略します。
原先生は、お灸の効用について、日本で初めて科学的に、また医学的に証明されました。原先生は、お灸は素晴らしいと思い、日常の診療にお灸を使う。ご自分にも毎日お灸をすえる。そういう診療と生活を、長年されました。論より証拠と言いますが、ご自分の健康を長く保ち、104歳まで診療を続ける。やがて男性では、日本一の長寿者になられ、108歳の 長寿を得られました。大変すばらしい事でした。
今でも同門会で話をされる、あごひげを長く伸ばした、原先生の温顔が、目に浮かびます。お灸は、体全体の免疫能を、高めるものと思っています。もっとも自分で長年お灸をすえ続ける、それには相当の意志の力が必要です。
ハーバード大学医学部は、疾病や健康に関する情報を、インターネットで世界に発信しています。私のところにも、定期的に届きます。一番最近の情報で面白かった、興味があったのは、サプリメントに関するコメントでした。 端的に言えば、サプリメントが役に立つ、そういう証拠はない、と言います。(英語で 「There is no evidence they work:役に立つという証拠はない」と記述)。 そして例として、三種類のサプリメントを記し、説明します。 DHEA、鉄、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12)です。
日本でも、今はサプリメントが氾濫しています。テレビのコマーシャルを見ると、サプリメントの広告が非常に多い。それだけ買う人も多く、収益につながるのでしょう。それらが、健康に役立つという、明確な証拠があるのか、どうも疑問のように思われます。例えば、ヒトを対象とする、きちんとしたClinical Trial, 臨床試験、二重盲検試験、などが行われているのか、疑問に感じるところです。
ちなみに我々が、世界中の研究報告を集め,検討し、世界に向けて発表した報告書、「食物・栄養・身体活動とがん予防:世界的展望」の中で、がん予防のための種々の勧告をしましたが、その中で、「がん予防のために、サプリメントをとることは、勧められない」と述べています。栄養失調とか、特殊の状態のときは別ですが、普通の生活をしている人には、基本的にサプリメントは不要だ、そういう話です。
人間は太古から、放射能の中に生きてきました。低線量は、むしろ健康にプラスだ、そういう主張の方もいます。
そういう研究をしたいと、相談を受けたこともあります。放射能の高い温泉(ラジウム温泉?)のそばの住民の方の健康を調べたい、そういう話でした。名のある研究者の方ですが、低線量の放射能は、健康に良いのではないかと考え、相談に来られました。
地域によっては、放射能のレベルは高いし、またジェット機で空高く飛べば、かなりの放射能にさらされます。1ミリシーベルトで、健康被害がある、がんのリスクが上がる、そういうデータは、世界で見当たらないのです。 以下省略: 原発問題の方に移行しました。
ヒトの体が、どうして形成されたか、明らかではありませんが、ヒトの構造を知れば知るほど、奇跡以外の何物でもない、そういう気がします。神様という言葉は、宗教により特殊の概念がある、しかし人を造った造物主、その創造主の計らいには、ただ驚嘆するほかありません。ある分子生物学者は、たしかお米でしたか、遺伝子情報を研究し、その塩基配列を決めた。途方もない量の、途方もない長さの、塩基配列を解読しました。その先生は、配列を解読するのは偉い事かも知れないが、その配列をだれが決めたのか、その Something Great 何か知らぬ偉大なもの、に驚嘆するほかない、というご意見でした。
造物主の計らい、健康に関する計らいについて、簡単なものを二つ記してみましょう。ヒトの歯は、28本あります。そのうち、肉を切るのに役立つ犬歯は、4本しかありません。肉食動物、例えばライオンなどは、ほとんどが、先の尖った歯です。つまり造物主は、ヒトに対して、動物性ではなく、植物性の食品を中心にした食事をするように、「計らっている」のです。これは大事なことと思います。
最近 ジョギングや マラソンが盛んです。 造物主は、ヒトが走ることを中心に動く、移動することを想定していない。走るのではなく、歩くことを中心に生活するように、想定しています。馬の例を取ると、馬はひづめを持ち、走る動物として作られていますが、ヒトは違う。ヒトの足はひづめではありません。走ることに重きをおく生活をする、これは造物主の想定外ですから、悪影響が出ても、苦情は言えないかもしれません。ここでかなり前の悲劇、ある薬品会社の御曹司が、将来を期待された方が、若くしてジョギングで倒れ、急死されたのを思い出しました。たしか40歳代の、人生これからという方だったと思います。
人は 健康な体を求めます。このホームページは、そのお手伝いをします。しかしその前提として、健康な心が必要です。たとえば最近乳幼児の虐待が問題になります。心が病んでいては、どうにもなりません。赤ちゃんに、親がタバコの火を押し付け、やけどを負わせる。その跡が数多くある写真を、実際に見せられた時は、まさにショックでした。
健康な心は、一晩のうちに形成されるものではない。長いプロセス、10年、20年と、成人になるまでのプロセスで形成されます。とくにより幼い時期に形成される。心身ともに健康な人になるには、考える力、ヒトとして、考える力が必要です。誰でもご存知のように、最近は電車に乗ればすぐ目につくが、若い人の大部分は、携帯、スマホに夢中です。私もスマホを使うが、なぜ防水機能がついているのか分からなかった。つまり風呂に入っていても、メールを受け、メールを出す、あるいはゲームをする、それで防水機能がついているようです。ちょっと信じがたいことですが。ヒトが形成されて行く、その大事な時期に、メールやゲームに明け暮れる、本を読む時間もない、考える時間もない、それでは社会が成り立たちません。この国際競争の激しいときに、資源が全くない日本で、太刀打ちできるだろうか、懸念される話です。
我々の年代のものが集まると、これからの日本はどうなるのだろう、そういう話題が良く出ます。より若い方々が、この日本をきちんと保持、発展させていけるだろうか、それに関する年寄りの者達の心配です。取り越し苦労であることを願っています。
福島の原発事故が起こる前の話です。放射能漏れが、時々ニュースになる。人体に全く問題にならないレベルの量です。しかし私は、万一のことが起こったら、どうなるだろうと危惧していました。
ある電力会社の責任者の方との話を思い出します。私の考えは、ニュースになる放射能漏れは、問題にならない量だと思うが、万一の場合どうなるだろうか。
例えばある国が、海岸にある原発を攻撃し、爆破したとする。それを制御しようとしても、放射能のために近寄れない。大変なことになるのでは、と話したことがあります。実際に、1000年に一度という大津波のため、大変なことになったのはご承知の通りです。普通の工場が爆破された場合は、がれきの山になっておしまいになる。しかし、原発は違う。そばに近寄れない。西欧のドラゴンは、口から火を噴くそうですが、西欧の龍、ドラゴンと同じで、放射能のためそばに近寄れない。手が付けられない。大変なことになるのではと危惧していました。
以下省略: 原発問題の方に、移行しました。
このホームページでは、健康に暮らす、アクティブに暮らす、それに役立つ情報を提供しています。しかし人間も生物であり、生きている者は誰しも終末がある。それを忘れるわけには行きません。どういう終末を望むか、あらかじめ考えておくことが必要です。考慮の一つに、終末期の医療がある。今の医学では、たとえ植物人間になっても、チューブにつなぎ、生かしておくことが可能です。それではたまらない。そこで「尊厳死協会」などが必要となります。つまり不自然な、延命だけの治療は希望しない、そういう意思を、あらかじめ表明しておくのです。もっとも治療にあたる医師が、それを尊重するかどうかは分からない。適切な治療を怠ったと、医療裁判になるリスクもあります。結局法律を制定する、終末期の医療について、論議をし適切な立法が是非必要だろう、と思います。
終末などと言うと、じめじめした感じになり易い。それであるお二人、忘れがたいお二人の事を書いてみましょう。
私は随分前ですが、国際連合のある委員会の委嘱を受け、放射線にどれ位発がん作用があるか、報告書を書く、それを担当し責任者になりました。ニューヨークの国連事務局に出かける前、送別の宴を、御園生先生(放射線医学総合研究所の所長)、塚本先生(国立がんセンター総長)、このお二人が開いて下さった。三人の宴ですが、こちらはまだ30歳代で、話題に困った記憶があります。このお二人は、酒好きであり(失礼)、非常に仲が良かった。ちなみに御園生先生は、国連のこの委員会の(たしか当時14ヶ国が加盟)、日本側委員の代表でした。
塚本先生は、残念ながらほどなく、総長在職中に亡くなられた。ある国際学会を主催された後の事です。日本に帰ると、御園生さんがあるクラブに誘う。靴を脱いで畳に上がる、座敷にカウンターがある。御園生さんの横に座ると、「君、すまんがそこは、憲甫(塚本先生)の席で、空席にしてあるんだよ」と言われる。塚本先生の友人達は、憲甫先生を失い、さぞ残念だった事でしょう。その気持ちが良く分かります。古き良き時代の話です。御園生さんも、かなり前に故人になられたが、国際会議でたびたびご一緒したり、ホノルルの我が家に来られたり、長く楽しいお付き合いでした。そして今振り返ると、あの頃の人は大きかった、そんな気がします。苦労を知らずに、子供のまま成長し大人になった、最近は、そういう人が増えたのかも知れません。
曽野綾子さんの近著「なぜ子供のままの大人が増えたのか」を参照下さい
一般に日本食は、世界でも素晴らしい食事だ、理想的な食事だ、などと言われます。だが日本食にもいろいろあります。そして伝統的な日本食には、問題が多いのです。
少し古い話ですが、江戸末期、あるいは明治の初めには、脚気患者が多かった。当時の病院の入院患者で、一番多かったのは、脚気の患者だった、そういう記録があります。徳川の将軍の方達が脚気で死亡する、徳川家茂公も脚気でなくなる、皇室から降下し、家茂公と結婚された和宮も、脚気で死亡する。明治天皇も脚気にかかられる。日清、日露の戦争では、戦死者と同じぐらい、脚気で死亡する。すべて白米を中心とした、日本食の欠点による発病であり、死亡です。コメを精米し、有効な栄養成分をそぎ落として白米にする。大変おいしいのですが、ビタミンB1の不足で、脚気になるわけです。
私個人のことを言えば、白米を控える、胚芽米を食べる、麦を入れて食べる、そのようにしています。女子栄養大学は、むろん栄養をテーマにした大学ですが、食堂では、白米ではなく、胚芽米を出していた記憶があります。いま世に売られている弁当は、全部、あるいはほとんどが、白米です。学校給食も白米ではないか、と思っています。根本的に、考えるべきでしょう。
世界のエビデンスを集め、英知を集めた我々の勧告(このホームページに記載)では、お米でも麦でも、穀類は、精製度を落として食べるように、過度の精製で栄養分をそぎ落とすことのないように、と勧めています。これは大事なことでしょう。
もう一つの問題は、白米が甘いせいか、梅干しや漬物を多く食べる、魚の干物を食べる、塩からいみそ汁を飲む、塩分が非常に多い食事をする傾向があります。かっては東北・北陸など、食塩摂取量が多過ぎ(一日に20g、30gとか)、中年で高血圧になり、脳卒中になる人が多かった。40代でも倒れる人が結構多かったのです。(倒れた方達を、「あたった」と言う、と聞いたことがあります)。 現在の日本人の食塩の摂取量は、一人当たり一日10gです。これも多すぎる、半分の5gでよい、と思っています。このホームページ記載の、世界への勧告を参照にして下さい。
なお写真は、慈恵医大の創立者、高木兼寛先生です。海軍の軍医でしたが、あまりに脚気患者が多い。留学した英国海軍では、脚気患者はいない。何故だろう? 日本の食事に原因があるのではと考え、麦飯を食べさせるなど改良すると、海軍から脚気がなくなった。一方陸軍軍医の森鴎外は(有名な作家でもある)、ドイツに留学し、脚気が細菌により起こるのではと考え、陸軍の軍人に白米を食べさせ続ける。そして膨大な脚気患者と死亡者を出す。
当時海軍が、いわゆる高木食で、脚気をコントロールしていたのを無視する。不思議な話です。高木先生は、疫学的に白米主体の日本食の問題点を見つけ、難病であり、大問題だった脚気病をなくし、素晴らしい業績を挙げられた。海軍のある遠洋航海で、脚気患者が多く、病人だらけで、ほとんど航行不能になる。高木先生は、食事を改良し、いわゆる高木食で、同じ航路を航海させる。脚気患者は発生しない! 大変素晴らしいし、スリリングな、劇的な事実です。
(吉村昭著、「白い航跡、上下巻」は、一般向けで読みやすく、面白い)
人の健康は、心の持ち方で大きく左右されます。たとえば大変な心労、心配事で、一晩で白髪になる例もあるようです。心の持ち方で病気が治る、それを実証した人に、昔の方ですが、白隠禅師という方がおられます。禅宗の修業は大変なようで、白隠さんは修行中に病気になった(肺結核?)。ところが一種の瞑想法を会得し、病気を治すことができた。さらにその方法で、お弟子さんたちが修行中に病気になる、それを治された、と云われています。
その一種の瞑想法、「内観の法」(軟その法とも言います)は、ここに詳しく書くのは一寸長すぎて、ブログでは無理ですが(詳しく書けば、小冊子にはなるでしょう)、「内観の法」自体は、決して難しいものではありません。白隠さんの「夜船閑話」という本をご覧になると、その方法が良く分かります。ただし原本では難しすぎるので、現代の人が読み理解できる、そういう形の解説付きの本でないといけません。
(追記) これだけでは、読む方にちょっと不親切かと思い、若干説明すると、まず仰臥します。ゆっくり呼吸を整える。やがて無念無想の瞑想状態に入る。軟そ(やわらかい、香りが良く、素晴らしいもの)が頭に入ってくる。それが心臓の方に降りてくる。さらに体中に少しづつ溶けて行き、流れて行き、行き渡る。良い香り、すばらしい活力、生命の力が、体中に流れて行く。すみずみまで行き渡る。その間に、種々の素晴らしいことを念じる。例えばある病が、癒された!と思い、信じる。心が喜びに満たされるーーー。
夜船閑話の内観法を、短い説明では無理かも知れませんが、いわば意訳し、説明してみました。宗教で病気が治る、そういう例もあります。医療を無視して宗教に頼るのは論外ですが、心の持ち方も大切だ、そのように考えます。
ブログの4番目に、日本民族が消滅する、そういう危険があり、この問題は、日本の最重要課題の一つだ、と述べました。しかしピンと来ない方が多いかもしれません。というのは、人口問題研究所などの将来予測は、大体50年先までしか、予測していないからです(もし間違っていたら訂正しますが)。サイエンスの立場からは、100年先とか、そういう将来予測は難しいからでしょう。50年先ぐらいまでは、戦後のベビーブームの世代とか、過去の人口が多かった、その遺産が残ります。しかしそのあとの50年は、すごい勢いで人口が減ってゆきます。もちろん現在の出生率が将来も続くとしての話です。
以前大学院の学生さんに、計算してもらいましたが、現在の出生率(正確には年齢別の出生率)と死亡率(年齢別死亡率)が将来も続くとすれば、日本の人口は、100年後は約5000万人になる計算です。200年先には、1000万人に近くなる。現在の状態が続くとそうなる、という話です。その頃には自分は生きていないからいいよ、という訳には行きません。衆知を集め、対策を考えるべきでしょう。
現在すでに、日本には外国の人が多い。このまま進むと、日本国は外国の人たちの国になるのではないか。その可能性は、結構高いと思います。日本民族が、消滅して行くのは、いかにも残念なことだと思っています。(20年ほど前に、日本の滅亡という題の書物を出そうと思ったことがあります。まだ少子問題が話題になっていませんでしたが。理論的な人口減少は、40年前から始まりました)
腰痛に悩んでいる方は、本当に多いと思います。一生に、腰痛を一度も経験しない、そういう方はまずいないでしょう。もっともどういう職業なのか、それによっても違います。腰に負担の大きい職業では、腰痛が多い。スポーツ選手には、腰痛が多い。比較的軽いスポーツ、たとえばゴルフなどでも、プロゴルファーは、長年スイングのときに腰に大きな負担がかかる。それで大部分の方は、腰痛を経験するそうです。
動物は、元来4本足で歩行するのが当たり前で、それを人間は、直立して歩くようになったので、腰に負担がかかるのは当然かもしれません。もちろん直立して歩行するので、手が自由に使えるようになり、今日の文明を築くことができました。いずれにしても、誰しも出来れば、腰痛のない生活をしたい。腰痛の痛さは、他のヒトにはわからない。腰痛予防に関し、どうしたらよいか、それを以下に、箇条書きにしてみます。
1. 物を持ち上げるとき、腰を曲げないで、足を曲げること。重い物を急に持ち上げると、腰を痛めることがあるのは、誰しも知っています。それを防ぐのには、足を使って持ち上げることです。軽いもの、たとえば、床にヘアピンがあり、それを拾うとします。その際、身体を前に曲げて拾う、腰を曲げて拾うのは良くない。直立の姿勢で、足を折り、身体を低くして拾うのが良い。ぎっくり腰の予防に役立ちます。重いものの場合は、なおさら、このやり方が大切です。「ヘアピン」予防法ですね。
2. 人間の体に、背骨がありますが、背骨だけでは体重を支えられない。背骨の両側に筋肉があり、サポートしています。その筋肉を強くすれば、腰痛予防に役立ちます。筋肉を強くするには、歩くのがよい。走る必要は全くありません。 最近は、誰しも歩行の距離が減ってきているが、やはり歩くことは大切です。健康の基本ですね。
3. 腰に負担がかかる職業の方は別として、一般の方は、無用な腰への負担は避ける。たとえば重いものを急に持ち上げる、そういう事をしない。ゴルフは健康に良いと言われるが、フィニッシュのときに、後ろに反り返る姿勢(lean back と言う、腰に負担がかかる)を取らない、などなどです。運動では、歩くこと、そして水泳が、腰痛予防に良いのです。水泳の場合は、水の浮力で、体重が腰にかからない、そういう利点があります。プールの中を歩く、それもお勧めです。
4. 寝るときの姿勢ですが、もし上を向いて、不動の姿勢で寝る方がいれば、それよりは足を曲げて横向きに寝るとか、体の姿勢を時々変えるとかすると、腰への負担が少ない。実際腰痛のときは、ベッドの上で、どなたも自然に、横向きの姿勢を取るでしょう。
以上 簡単で、守りやすく、そして腰痛予防につながる、そういう注意を、箇条書きにしてみました。
ハーバード大学の医学部は、外部に情報の発信をしています。私のところにも、定期的にメールが来ます。最近のメールについて、感じたことを書いてみます。テーマは「どうしたら、もっと野菜や果物を食べることができるか」であり、それに関する情報を提供しています。そしてより詳しい情報を知りたい方には、一冊の分厚い本を紹介しています。
私が興味を持ったのは、「野菜と果物と両方を、もっと食べるべきだ」と強調していることです。日本でも、野菜は健康に大事だ、それは常識になってきましたが、果物も健康に大事だ、その考えは少ないように思います。実際、日本人の一人当たりの果物の消費量は、世界各国の中で、最低の部類、どん底に近いところです。しかも若い世代に特に少ない。それでは困る。もっと健康上食べるようにしようということで、全国的な「果物200g運動、果物を毎日200g以上食べよう」という運動が始まりました。私も関係しています。200gというのは、中くらいのミカン2個分に相当します。果物は健康に良い、もっと食べよう、そういう機運が全国的に広がることを期待しています。
このホームページの中に、大阪放送での対談「果物の常識と非常識」、落語家の方(桂九雀さん)と私との対談を載せています。どうぞお読みください。きっと参考になるでしょう。 これは「健康・教育・国際問題など」のページにあります。
今年の夏は暑い。いわゆる猛暑が続きます。日中の最高温度が、体温と同じぐらいの高温になるのは、さすがにたまりません。猛暑が続くと、涼しいところが恋しくなります。そういう別天地は、私にとってはハワイです。ホノルルの夏は、住宅地の場合ですが、最高の温度が27-28度ぐらいで、まず30度を超えることはない。ですからほとんどの家には、クーラーがありません。扇風機があれば良い。日本の高原の気候ですね。さらに心地よい海からの風が、いつも吹いています。
ハワイの日系人の方たちは、ハワイが常夏の国と言うと気に入らない。常夏の国ではなく、常春の国だと言います。本当に太平洋のパラダイスですね。むろんワイキキの方は暑く、ワイキキのホテルでは、冷房が必要です。いわゆるゾーニングが厳しく、住宅地域と、ホテルの建築ができる地域は、厳しく分けられています。 ちなみに、ワイキキと他の地域は運河(アラワイ・カナル)で隔てられている。その運河に橋をかけて良いかどうか、昔の話ですが、市議会で長く議論し、結局許可しなかったのを思い出します。観光客用の地域と、Local ローカル、現地の者が住む地域をきちんと分けているのです。善悪は別として、こういうやり方もあるのだな、と思った次第です。
私は食生活に興味がありますが、いまの我々の食事は、昔の人から見れば、天国の食事と思うでしょう。大昔の人が書いたパラダイス、天国の描写を読むと、天国では、乳の流れる川(牛乳やヤギ乳などの流れる川)があり、はちみつの流れる川がある、それを好きなだけ飲み、なめられる。そういう記述があります。つまり、その頃牛乳がいくらでも飲める、はちみつがいくらでもなめられる、それは天国の世界だったのです。
今はそういう、いわば天国のような食生活ができます。しかし良い事ばかりではない。正しい選択をせずに、偏った食生活をする。例えば食べるもののカロリーが高すぎて、肥満になり(一方身体を使わず運動量が少ない)、糖尿病やその他の病気になる、そういう現象が出てきています。昭和20年代、あるいは30年代の前半、糖尿病の患者さんはごくまれだったのです。今は10人に一人が糖尿病か、その予備軍というから、恐ろしいことですね。豊かな時代になり、何でも食べられるようになった、同時に、正しい知識と判断のもとに選択して食べる、それが必要な時代になりました。
若い人の(若い女性の)食生活の実態調査は、このホームページにも載せています。参考にしてください。コンビニで、おにぎりを買って、それで食事をすませる。ポテトチップスを、電車内でポリポリ食べる。そういうのを見ると、大丈夫かな、という気がします。
ポテトチップスなどは、カロリーは高いが、栄養はほとんどない。それでEmpty Calorie, エンプティ・カロリー、 空っぽのカロリー、と言います。カロリーはあるが、栄養の方は無い、という事です。
ボケの人は、日本人の60歳以上の人では、5人か10人に1人と言われる。しかし 誰もボケになりたい人はいない。 エビデンス(科学的証拠)にもとづく、その予防法をお示ししたい。 執筆中
多くの科学的な研究に基づく、つまりエビデンスに基づく記述は、若干時間がかかります。それで、こういう人たちには、ボケがない、その話を一つ書いてみます。
私は若いころ、囲碁をたしなみ、九州学生選手権で、優勝しました。福岡の加藤正夫さんが子供のころ(愛称、マー坊)、碁を教え、正夫さんと私の碁の記録を、東京に行き、高川本因坊のお宅に参上し、お見せしました。正夫さんのお父さんのご依頼でしたことです。正夫さんが、小学校5年か6年の頃でした。
高川先生は、「見どころのある子なので、一日も早く東京に連れてくるように」と言われ、さらに「内弟子(住み込みの弟子)を取る平塚の木谷先生のところが良いのでは」と勧めて頂きました。それが正夫さんが、木谷先生の内弟子となり、プロ入りするきっかけになりました。正夫さんはその後、プロ棋士として大活躍し、次々に日本のタイトル戦で優勝し、また日本棋院の理事長もつとめました。
ところで世間では、碁をたしなむ人はボケないと、一般に言われています。本当だろうかと思って、正夫さんと会食を した時に、聞いてみたことがあります。彼が、日本棋院の副理事長のときだったでしょうか。正夫さんは、ちょっと考えていましたが、「そういえば、プロ棋士でボケた方の話は聞きませんね。ボケた方は、いないんじゃないでしょうか」との返事でした。では、ボケない理由は何でしょうか?
私の考えでは、囲碁は複雑なゲームですから、碁を打つと随分頭を使う、それがボケ防止につながるのではないか、と思います。これが一つの理由です。 今一つは、例えばプロ棋士は、年をとってもアマチュアの碁の好きな人に碁を教える、それが生計の足しになり、社会との接点になっている、と思います。何歳になっても、社会との接点を持つ、つまり家にこもって、テレビが相手という生活ではなく、社会との接点を保つ、それが大切なことだと思います。その接点を求めるためには、例えば、ボランティア活動をする、そういうのも大変良いことで、ぜひお勧めしたいと思います。
日本民族が消えて無くなる? 合計特殊出生率の見地から
私(廣畑)がまだ学生の頃、ある世代から次の世代に、どのように人口が変わって行くか、ある教授から教えて頂いたことがあります。 その方は、人口問題の大家でした。お弟子さんの一人は、大学から、国際連合の人口問題を扱う部門に転職し、一生ニューヨークで暮らしました。
さて、人口の移り変わりは、どのように決められるのでしょうか。答えは簡単で、生まれる人の数と(出生数)と、死亡する人の数(死亡数)で決まります。それではあまりに漠然としているので、「合計特殊出生率」なるものを計算します。これは新聞などで、ご覧になった方が多いでしょう。簡単に言えば、女性一人から、何人子供が生まれるか、それを表すし、どのように世代交代が起こるか、それを表します。
具体的には、子供を産める年齢(15歳から49歳)の女性からの出生率、専門の用語では、特殊出生率を(例えば20歳の年齢の女性からの出生数を、20歳の女性人口で割る、これを20歳の特殊出生率という)につき、15歳から49歳まで全部合計したものです。 親の方は2人ですので、この数値が2であれば、現状を維持するし(実際は、2を少し超えた値が必要、ここでは省略)、4や5であれば、人口はどんどん増える。世界の発展途上国では、実際4とか5で、人口が爆発的に増えています。一方先進国では、2を切る国があり、2を切れば人口が将来減ります。特に日本は低く、年によって違うものの、1.3とか非常に低いのです。理論的には、一世代(30-40年)後には、人口が2/3になります。少子社会といわれる所以です。
不思議なことに、日本が非常に貧しかった頃の値は、例えば昭和25年は3.65、昭和30年は2.37で、2よりかなり高いのです。2を切るようになったのが、経済的にかなり豊かになった、昭和50年、1975年以降です。だから貧しいのが低下した原因とは言えないと思います。理論的に言えば、合計特殊出生率を検討し直してみると、今から約40年前に、すでに人口減少が始まりました。それに対し、対策を組むべきだった、是非組むべきではなかったか、と思います。
この値が2を切っても、人口の絶対数が減らなかったのは、戦後のベビーブームの世代、そしてその子供の、第二次ベビーブームの世代が大勢いた。出産出来る女性の人口が多かったからです。一人あたりの産む数が少なくとも(合計特殊出生率が低くとも)、産める年齢の女性が多ければ、人口減少は目に見える形(例えば年に50万人減少とか)にはなりません。
ベビーブーム世代の影響が、なくなった現在は、年に約100万人の出生数です。昭和30年(1955年)の出生数は、約170万人だったので、70万人の減少、約40%の減少です。あらゆるところに、人口減少の影響が及びます。例えば大学でも、受験者が激減し、定員割れで経営が成り立たないところが数多く出てきます。モノを買う人数が減少しますから、内需が落ちて、国内経済の様相も変わって来るでしょう。むろん生産に従事する人口も減り、生産が落ちるでしょう。
いずれにせよ、日本民族が消えて無くなる! それが現実のものとなりつつある! それは非常に残念で、国民全体で真剣に考えるべき、最も優先すべき課題の一つと思います。
フロッシング(歯科用の糸で歯の間の汚れを取る)の すすめ
健全な歯が 口の中だけの話でなく 全身の健康に影響する、それが最近分かってきました。早い話が、虫歯が痛めば、満足な食事は摂れませんし、年を取って入れ歯の生活になると、よく噛めないし、美味しさも今一歩でしょう。虫歯の菌が、心臓などの重要な臓器でもいたずらをすることが分かってきています。
厚生労働省は、「8020運動」 80歳で自分の歯を20本残そうという運動をしています。歯の数は、元来28本ですから、8本は欠けたが20本残っている状態で、それを目標に歯を大事に残そう、という運動です。実際は、20本残っている人は少ない。残念ながら、平均して約半分、14本ぐらい残っているそうです。
私は幸いなことに、28本一応全部揃っています。その理由は、毎日のブラッシングとフロッシング ( flossing ) だと思います。歯のブラッシングをする(歯を磨く)のは当然ですが、フロッシングはとても大切です。 私は若いころ、虫歯がある、歯肉からの出血もある、それで困っていました。数十年前、九州大学から、ボストンのハーバード大学に、留学したのですが、ハーバード大学の歯学部を受診すると、「これはいけない」と言われました。そして丁寧に、歯ブラシの使い方と、フロッシングの仕方を教えてもらいました。その時初めてフロッシングを知りました。
それが大きく言えば、人生を変える?ほどの、大きな影響がありました。その後は、虫歯にもならないし、出血もない。もっともフロッシングをサボルと、歯茎から出血することがあります。しかしフロッシングをすれば、すぐに直ります。それではフロッシングとは、どんなことでしょうか?
私が使っているのは、ジョンソン・ジョンソン社の、ワックスをかけた糸です。今は日本の薬局でも、売っているところが多いと思います。小さいプラスチックの箱の中に、糸がグルグル巻きになっており、その端を引っ張り出し、適当な長さに(20ー30cmぐらい?)切って使います。
糸の両端を、両手の人指し指に巻き、鏡を見ながら、歯の間の汚れをその糸で取ってゆきます。
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシではむろん取れません。物理的に取れるわけが無い。 フロッシングは、歯間の汚れを取ります。また、歯肉の刺激にもなり、歯槽膿漏の予防にも非常に有効です。皆さん方も、もしまだでしたら、実行されることをお勧めします。とくに歯を磨くとき、いくらか血が出る、そういう方に、ぜひお勧めします。もっとも最初は、歯医者さんで使い方を指導して頂くのがベストと思います。 2013年5月
一般に 焼酎は体に良い、と信じている方が多いようです。本当でしょうか。私たちの以前の研究が、最近インターネットで話題?になっているようです(どなたが書いたのか知りませんが)。
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